「パパ、犬飼いたい!」「ママ、友達の家に猫がいるんだよ!」
そんな言葉を、うれしそうに言ってくる子供。
でも心の中では、
「うちはマンションだから…」「お世話できないし…」「アレルギーもあるし…」
と現実の壁を感じて、胸が痛くなること、ありますよね。
私自身も3人の子を育てる中で、何度も「ペットを飼いたい!」とせがまれました。
でも、すべての家庭がペットを飼える環境にあるわけではありません。
大切なのは、ただ“ダメ”と言うのではなく、子供の“気持ちを育てながら伝える”こと。
この記事では、心理学と脳科学の知見をもとに、
「ペットを飼いたい」という子供の心の動きを理解し、
現実を伝えつつも「心を育てるチャンス」に変える方法をお伝えします。
子供が「ペットを飼いたい」と言う心理
①「かわいい」だけじゃない|“共感脳”の発達サイン
子供がペットを欲しがるのは、単なる“かわいい”という感情だけではありません。
そこには、共感力(empathy)の芽生えがあります。
脳科学的には、小学校中学年ごろから「ミラーニューロン」が活発化し、
「相手の気持ちを感じ取る力」が育ち始めます[Decety & Jackson, 2004]。
つまり「動物を世話したい」「守ってあげたい」という気持ちは、
子供の心の成長そのものなのです。
②「ペット=安心と愛情」
特に学校や友達関係でストレスがある子ほど、
「動物と一緒にいたい」と思う傾向があります。
それは、動物との触れ合いが安心ホルモン“オキシトシン”を分泌させ、
孤独感や不安をやわらげてくれるからです[Beetz et al., 2012]。
「動物がそばにいると落ち着く」
「友達みたいでうれしい」
そんな言葉が出る子は、実は“癒し”を求めているのかもしれません。
③「家族に認めてほしい」願いの表れ
「ペットを飼いたい!」という言葉の裏には、
「自分の意見を聞いてほしい」「家族の一員として大切にされたい」という思いもあります。
心理学的には、これは自己表現欲求(self-expression)の一形態。
ペットを通して「自分も責任ある存在」として認められたい気持ちが隠れています。
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我が家の失敗談|「ダメ!」だけでは子供は納得しない
以前、うちの長女(当時7歳)が「ハムスターを飼いたい!」と言い出しました。
友達の家で触らせてもらい、すっかり夢中になっていたのです。
私は即座に「無理だよ、世話できないし」と言ってしまいました。
すると、彼女の表情が一瞬で曇り、部屋にこもってしまったんです。
数日後、絵日記にはこう書かれていました。
「パパはいつもダメっていう。わたしの気持ちは聞いてくれない」
このとき、私は深く反省しました。
“ダメ”という言葉は、子供の心に「否定」として残ってしまうのだと。
教訓|“否定”ではなく“理解”から始める
子供がペットを欲しがるのは、心が育っている証拠。
まずはそれを「いいことだね」と受け止めることから始めましょう。
「動物好きなんだね。優しい気持ちがある証拠だね」
「世話したいと思えるのはすごいことだよ」
この一言だけで、子供は「気持ちを理解してもらえた」と感じ、
親の話を受け入れる準備ができます。
その上で、現実的な制約を説明するのです。
子供を傷つけずに“現実”を伝える5ステップ
① まず共感
「わかるよ。かわいいよね。お世話してみたいよね」
ここで「でもね」を急がず、しっかり“共感タイム”を取ること。
脳科学的には、共感されることでオキシトシンが分泌され、
子供の心が開きやすくなります[Zak, 2015]。
② 家の事情を“共有”する
「実はマンションだから動物が飼えないんだ」
「ママがアレルギーがあるから難しいんだよ」
「ダメ」ではなく、「一緒に困っている」構図にすることが大切です。
“共に考える”姿勢を見せると、子供は理解しようとするようになります。
③ 「いつか飼えるかもしれないね」と未来を見せる
「お家を引っ越したら」「自分でお世話できるようになったら」
と“可能性”を残すことで、子供は希望を保てます。
完全な否定ではなく、「努力すれば叶うかも」という未来の道筋を示すことが、
レジリエンス(心の回復力)を育てます。
④ 代替案を一緒に考える
ここがとても大事です。
「飼えない=終わり」ではなく、「できること」を探す。
たとえば:
- 週末に動物カフェへ行く
- 近くの動物保護施設を見学する
- 植物やカブトムシ、メダカを育ててみる
- 学校や図書館で「動物の本」を借りて読む
「関わる体験」を通して、“命を育む感性”は育ちます。
⑤ 「ありがとう、相談してくれて」と締める
最後に、
「話してくれてうれしかったよ」
「そうやって意見を言えるのは大事なことだね」
と、コミュニケーションを肯定的に終えることがポイント。
これにより、「親は聞いてくれる存在だ」と学習し、
親子の信頼関係が深まります。
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ペットを“飼えない”家庭だからこそ育てられること
ペットを実際に飼わなくても、
「命を大切にする心」や「責任感」は育てられます。
たとえば:
- 花を育てて「水を忘れると元気がなくなるね」と話す
- 虫の観察をして「命ってすごいね」と感じる
- 動物番組を一緒に見て、感想を語り合う
これらの体験はすべて、“命の教育”です。
動物を実際に飼わなくても、
子供は「命の尊さ」を感じ取ることができます。
子供が“納得する”伝え方のコツ
NG例
「ダメ。無理だから」
→ 子供の脳はこのとき、「なぜダメなのか」を処理できず、
“拒絶された”と感じやすくなります。
OK例
「あなたの気持ちはうれしい。でも、今の家だと難しいんだ。
その代わり、動物を見に行こうか?」
→ 否定ではなく、「理解+代替」をセットで伝えることで、
対話的コミュニケーションが成立します。
我が家の“折り合いエピソード”
我が家も、長男(当時9歳)が「犬が飼いたい」と言ったことがあります。
私は正直、
「毎日の散歩は無理だし、旅行にも行きにくくなる」と悩みました。
そこで家族会議を開き、みんなで「できること」を出し合いました。
最終的に、我が家ではハリネズミを見に行く体験デーを作りました。
触れる体験をした長男は、帰り道でこう言いました。
「飼うのは大変そう。でも、かわいかった!」
その一言に、私はほっとしました。
“飼うこと”より“知ること”の喜びを感じてくれたのです。
まとめ|「飼えない」ことは“ダメな親”じゃない
ペットを飼えないことに、罪悪感を持つ必要はありません。
大切なのは、
「命に向き合う姿勢をどう伝えるか」です。
「飼えない」と伝える中でも、
- 子供の気持ちを尊重する
- 一緒に考える
- 別の形で命と触れ合わせる
この3つを意識すれば、
子供は“思いやり”と“責任感”を確実に育てていきます。
そして何より、
親が真剣に話を聞く姿勢そのものが、
子供にとって「安心できる愛情の証」になります。
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参考文献
- Decety, J., & Jackson, P. L. (2004). The functional architecture of human empathy. Behavioral and Cognitive Neuroscience Reviews, 3(2), 71–100.
- Beetz, A. et al. (2012). Psychosocial and psychophysiological effects of human-animal interactions. Frontiers in Psychology, 3, 234.
- Zak, P. (2015). The moral molecule: The source of love and prosperity. Dutton.
- Masten, A. S. (2014). Ordinary Magic: Resilience in Development. Guilford Press.


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