「うちの子、将来なりたい職業がないって言うんです…」
「周りの子は夢を語ってるのに、うちの子は“別に”って…」
そんな悩みを持つ親御さん、多いです。
でも実は――
“夢がない”ことは、何も悪いことではありません。
それは、子供が「今の自分」を見つめている途中だから。
焦る必要はなく、「今この瞬間を生きる力」があれば、
未来の夢は自然と見えてきます。
この記事では、「夢がない」と言う子供の心理背景をひもとき、
親ができる“寄り添い方”を紹介します。
「夢がない=やる気がない」という誤解
「将来の夢がない=怠けてる」「何か目標を持たせなきゃ」
――そう思いがちですが、それは大人の価値観です。
子供の脳はまだ「未来を具体的に想像する力」が未発達。
特に10〜13歳頃までは、抽象的な思考を司る前頭前野が発達途中で、
“職業”という概念を現実的に結びつけるのは難しいのです[Diamond, 2013]。
つまり、「夢がない」ことは、
まだ想像できないだけで、
“興味がない”わけではありません。
子供が夢を描けない3つの心理的理由
① 「好きなこと」がまだ見つかっていない
今の子供たちは、学校・習い事・スマホなどで刺激が多く、
「自分の好き」に意識を向ける時間が少なくなっています。
「夢がない」は“やりたいことが見つかっていない”のではなく、
「見つける時間が足りていない」だけのこと。
② 「間違えたくない」心理(完璧主義)
「夢を言って笑われたらどうしよう」
「間違えたら恥ずかしい」
こうした“失敗回避型の思考”を持つ子供は、
安心できる環境でないと夢を語れません。
親の「夢は?」「将来どうするの?」という言葉が、
プレッシャーに感じられている可能性もあります。
③ “現実を見すぎる”早熟タイプ
意外と多いのが、論理的で現実主義な子供。
「消防士は大変そう」「先生は忙しい」など、
冷静に考えすぎて“夢を描けない”ケースもあります。
このタイプの子には、夢より「好き」を育てる会話が効果的です。
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夢よりも大切な“自己肯定感”
「夢を持つ子」と「夢を持てない子」の違いは、
“できる”と思えるかどうか(自己効力感)にあります。
心理学者バンデューラは、
「人は自分ができると信じた分だけ挑戦できる」と述べています[Bandura, 1997]。
だから、まず大事なのは“自分を信じられる経験”。
夢を探す前に、
・失敗しても挑戦できた
・努力を認めてもらえた
・小さな達成を褒められた
――そうした日常の中の“できた”を積み重ねましょう。
それが、未来への第一歩です。
子供の「好き」を育てる家庭習慣
① 「なにしてる時が一番楽しい?」を聞く
「何になりたい?」ではなく、
「どんな時が楽しい?」と聞くことで、
“行動の中の興味”が見えてきます。
たとえば、
「絵を描くのが好き」→デザイン・建築・アートへ
「人を笑わせるのが好き」→教育・接客・演出へ
“好き”は未来の種。職業名より感情を育てましょう。
② 「得意」を自然に褒める
「説明が上手だね」「よく観察してるね」など、
スキルを言語化して認めることが、自己理解を深めます。
これは脳科学的に、報酬系を活性化させ、
モチベーションと自己効力感を高める行動です[Deci & Ryan, 2000]。
③ 「親の仕事」も話してあげる
親が自分の仕事を“やりがい”を交えて話すことで、
子供は「働くってこういうことなんだ」と学びます。
職業の“種類”より、“働く姿勢”を伝えることが、
夢の種をまく最良の教育です。
親ができるサポート3ステップ
① 否定せずに“共感”する
→ 「まだわからないよね」「これから見つけようね」と、安心を与える。
② 興味を広げる“体験”を一緒にする
→ 科学館・動物園・職業体験など、“五感で学べる機会”を作る。
③ “夢がない”を受け入れる勇気を持つ
→ 「夢がなくても今を楽しめている」=心が安定している証拠です。
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まとめ|夢は“押しつける”ものではなく“育つ”もの
夢は、教え込むものではなく、環境と体験の中で自然に育つものです。
子供が「夢がない」と言ったとき、
焦るよりも「今どんなことにワクワクしてる?」と聞いてあげましょう。
“夢”のない子に必要なのは、
「希望を見つける力」であり、
それを育てるのは、安心できる親子関係です。
今の「何もない」が、いつかの「やってみたい」に変わる――
その瞬間を、あたたかく見守りましょう。
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FAQ
Q1. 将来の夢がないのは小学生でも大丈夫?
→ 全く問題ありません。10歳前後までは“夢を描く力”が発達途中です。
Q2. 親が何か職業を提案してもいい?
→ “押しつけ”ではなく“紹介”ならOK。「こんな仕事もあるよ」と軽く伝えるだけで十分です。
Q3. 夢を見つけるために習い事は必要?
→ “夢を見つける目的”ではなく、“興味を広げる体験”として始めるのがおすすめです。
参考文献
- Bandura, A. (1997). Self-Efficacy: The Exercise of Control. Freeman.
- Deci, E. L., & Ryan, R. M. (2000). Self-Determination Theory and Motivation. Psychological Inquiry, 11(4), 227–268.
- Diamond, A. (2013). Executive Functions. Annual Review of Psychology, 64, 135–168.
- Eisenberg, N. (2015). Prosocial Development in Childhood. Developmental Review, 36, 1–14.
- 文部科学省. (2023). 児童の将来意識とキャリア教育に関する調査報告. https://www.mext.go.jp/


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