「姿勢を良くしたくてバレエを始めたけど、心にもいい影響があるの？」
「うちの子、人前に出るのが苦手だけど、バレエで変われる？」
――そんな疑問を持つ親御さんも多いはずです。
実は、バレエは体だけでなく心を育てる“全人格教育”。
音楽を聴きながら、全身を使って表現する中で、
集中力・感受性・忍耐力・自己肯定感が自然に育ちます。
今回は、心理士パパの視点で「バレエが子供に与える本当の影響」を、
脳科学の根拠とともに紹介します。
バレエを習う子が増えている理由
近年、バレエは「姿勢・礼儀・集中力を育てる習い事」として人気。
特に女の子だけでなく、男の子の参加も増えています。
その理由は、
・表現力・感性を育てる
・集中力・忍耐力が鍛えられる
・自己肯定感と姿勢の美しさが両立できる
――つまり、心と体を両方整える教育的効果があるからです。
バレエが子供の脳に与える科学的効果
① “姿勢を保つ”ことで集中力が育つ
バレエの動作は、背筋を伸ばし、体幹を意識し続けることから始まります。
この姿勢維持の訓練が、脳の前頭前野（注意・思考・感情制御）を刺激し、
自然と集中力や落ち着きを高める効果があります［Davidson, 2019］。
② リズムと動作が脳のネットワークを鍛える
音楽に合わせて体を動かすことで、運動野・小脳・聴覚野・海馬が同時に活性化。
特にリズム運動は、記憶力・判断力・学習効率を高めるとされています［Diamond, 2013］。
つまり、バレエは「体で脳を育てる」学び。
③ 動作の反復で“自己調整力”が高まる
ステップやポーズを繰り返す訓練は、感情の自己調整（self-regulation）に直結します。
「もう一回挑戦してみよう」という思考回路が自然に身につくのです。
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バレエが心に与える心理的成長
① “自分を表現する喜び”が自己肯定感を育む
バレエでは、言葉ではなく動きで感情を表現します。
「音と体で伝える」経験は、子供に自己受容（自分を肯定できる心）を与えます［Bandura, 1997］。
「上手に」より「自分らしく」踊ることで、“ありのままの自分”を好きになるのです。
② 礼儀と美しい姿勢が社会性を育てる
レッスンでは、挨拶・返事・順番を守るなど、社会的マナーも重視されます。
この繰り返しが、協調性・責任感・思いやりを育てる基礎になります［APA, 2021］。
③ 挫折を乗り越える“心の強さ”
難しいポーズや発表会での緊張など、挑戦と失敗を繰り返すのがバレエ。
そのたびに「もう一度がんばる」を経験し、グリット（やり抜く力）が育ちます［Duckworth, 2016］。
挫折しやすいポイントと親の関わり方
① 「人と比べない」ことを意識する
上手な子を見ると焦るのは当然。
でも、比べられると子供は“劣等感”を覚え、楽しさを失います。
親は「昨日よりきれいにできたね」と過去の自分との比較を心がけましょう。
② 発表会の“結果”より“過程”を褒める
本番でミスしても、「最後まで踊れてすごかったね」と伝えることが大切。
努力を認める声かけが、レジリエンス（回復力）を育てます。
③ 親の“憧れ”を押しつけない
「ママも小さい頃やりたかった」――その気持ちは素敵ですが、
子供の意思よりも“親の夢”が前に出ると、ストレスになります。
「あなたはどうしたい？」と、子供の声を尊重する姿勢を忘れずに。
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家庭でできるサポート3ステップ
① 家で“姿勢の時間”をつくる
「1分だけ背筋を伸ばして立ってみよう」など、日常にバレエのエッセンスを取り入れましょう。
体幹を意識する習慣が、集中力と落ち着きにつながります。
② 音楽を聴きながら“自由に動く”時間を設ける
自由な表現の中で、子供の感情を解放させることが大切です。
正解を求めず、「楽しそうだね！」と受け止めるだけでOK。
③ 練習後に“努力を言葉にする”習慣
「今日はどんなところが大変だった？」
「どこがうまくいった？」と聞きながら、
“がんばりを言語化する力”を育てましょう。
まとめ｜バレエが育てる“強く美しい心”
バレエは、
・姿勢と集中力を育てる
・感情を表現する力を養う
・自己肯定感と忍耐力を高める
――そんな“心と体の教育”です。
大切なのは「うまく踊る」よりも、
“自分らしく表現することを楽しむ”こと。
その経験が、将来、どんな場所でも堂々と自分を表現できる**「芯の強い人間」**を育てます。
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FAQ
Q1. 何歳から始めるのが理想？
→ 4〜6歳がおすすめ。柔軟性が高く、リズム感や姿勢意識を吸収しやすい時期です。
Q2. 男の子にもおすすめ？
→ もちろんです。体幹と集中力が育ち、運動神経や表現力がバランスよく伸びます。
Q3. 挫折しないコツは？
→ 目標を小さく設定すること。「今日は手の形を覚えよう」など、達成感をこまめに感じさせましょう。
参考文献
- Davidson, R. J. (2019). The Emotional Life of Your Brain. Penguin Books.
- Diamond, A. (2013). Executive functions. Annual Review of Psychology, 64, 135–168.
- Bandura, A. (1997). Self-Efficacy: The Exercise of Control. Freeman.
- Duckworth, A. (2016). Grit: The Power of Passion and Perseverance. Scribner.
- APA. (2021). Physical activity, emotional regulation, and childhood development.
- 厚生労働省. (2023). 芸術・運動活動が児童の発達に与える影響に関する報告書. https://www.mhlw.go.jp/
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