
「子供が大事。でも、自分の時間もほしい。」
──この葛藤を抱えている親御さんは、本当に多いです。
でも安心してください。
心理学的にも脳科学的にも、「親の時間を大切にすること」=「子供を大切にすること」なんです。
10年以上、児童福祉の現場で親子支援をしてきた経験から断言できます。
「自分の時間を我慢して子供を優先しすぎる親」ほど、
心がすり減って、子供への接し方もギスギスしてしまう傾向があります。
この記事では、
親の“自分時間”がなぜ大切なのか、そして“罪悪感を持たずに確保する方法”を、
心理学・脳科学の根拠を交えて丁寧に解説します。
なぜ「自分の時間を持つ」ことに罪悪感を感じるのか
日本の親は「子供最優先文化」で育ってきたため、
「自分を優先=わがまま」と感じやすい傾向があります。
しかし心理学的には、自分を犠牲にする親ほどストレスが蓄積しやすいとされています[Neff, 2011]。
セルフコンパッション(自己への思いやり)が低下すると、
怒りや無力感が強まり、結果的に子供との関係にも影響します。
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自分の時間がない親が陥る“3つの悪循環”
① 感情が爆発しやすくなる
ストレスホルモン(コルチゾール)が慢性的に高くなると、
脳の扁桃体が過敏に反応し、些細なことで怒りが爆発します[Lupien et al., 2009]。
② 子供との会話が「指示」ばかりになる
心に余裕がないと、
「早く」「なんでできないの」「静かにして」などの命令型の声かけが増えがち。
すると、子供は「自分はダメな子」と感じて自己肯定感が下がってしまいます。
③ 自分を責めてさらに疲れる
「ちゃんとできてない自分が悪い」と自責にハマると、
ストレスが増幅し、いわゆる“親バテ状態”になります。
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脳科学が示す「リフレッシュの重要性」
脳は、ぼーっとしている時間(デフォルト・モード・ネットワーク)に
情報を整理し、感情を回復させています。
つまり、「何もしない時間」は“サボり”ではなく、
脳が最も効率的にリセットしている時間なのです[Raichle, 2015]。
親が5分間でも静かな時間を持つだけで、
その後の声かけ・判断・表情の柔らかさが変わります。
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親と子の心を整える“バランスのとり方”
① 「時間」ではなく「質」で考える
子供と過ごす“量”よりも、“心がつながっている質”が重要。
短時間でも、笑顔で話す・ハグするなどの愛情行動があれば十分です。
② “一人の時間”を「家族の時間」に変える発想
親が自分の好きなことをしている姿は、
子供にとって「人生を楽しむ大人のモデル」になります。
罪悪感を持たず、「自分時間=教育の一部」と捉えましょう。
③ パートナーと“交代制リフレッシュ”をつくる
1日10分でも、「お互いに休む時間を交換する仕組み」を持つと、
ストレスの連鎖が断ち切れます。
今日からできる!自分時間の作り方3ステップ
- 「やらない家事」を1つ決める
- スマホを置いて“静かな3分”を作る
- 「自分が好きなこと」を子供に話してみる
これだけで、心の充電率が上がります。
まとめ|自分を大切にすることは、子供を守ること
子育ては、親の体力と心で成り立っています。
だからこそ、「自分をケアすること」=「子供を守ること」。
「自分を犠牲にする」より、「自分を整える」ほうが、ずっとやさしい。
今日の3分が、子供の未来を変えます。
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【参考文献】
- Neff, K. D. (2011). Self-compassion: The proven power of being kind to yourself. HarperCollins.
- Lupien, S. J., et al. (2009). Effects of stress throughout the lifespan on the brain, behaviour and cognition. Nature Reviews Neuroscience, 10(6), 434–445.
- Raichle, M. E. (2015). The brain’s default mode network. Annual Review of Neuroscience, 38, 433–447.
- 厚生労働省. (2023). 子育て世代のメンタルヘルスと生活バランスに関する報告書. https://www.mhlw.go.jp/


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