「うちの子、バスケを習いたいって言ってるけど、どうなんだろう?」
「激しいスポーツだけど、心や性格にはどんな影響があるの?」
そんな疑問を持つ親御さんも多いでしょう。
実はバスケは、子供の“脳・心・人間関係”を総合的に成長させるスポーツです。
ただし、環境や指導次第でその影響は“良くも悪くも”変わります。
この記事では、児童福祉施設で10年以上、発達段階に応じたスポーツ支援を行ってきた僕が、
心理学・脳科学・現場経験をもとに、「バスケが子供に与える影響」をやさしく解説します。
バスケットボールが注目される理由
文部科学省の調査では、近年小中学生の人気スポーツで
「サッカー」「水泳」に次いでバスケットボールが3位。
特に注目されている理由は、
・チームプレーを通して人間関係を学べる
・集中力・判断力が鍛えられる
・運動量が多く健康効果が高い
など、“心と体の教育効果”が高い点にあります。
バスケが子供に与える良い影響
① 判断力と集中力を高める脳の刺激
バスケは、常に「次の動き」を考えながら体を動かすスポーツ。
この瞬間的な判断と切り替えの連続が、前頭前野(思考と抑制の中枢)を活性化します[Vestberg et al., 2017]。
また、動きながら周囲を観察する「空間認知能力」も発達します。
これは、勉強や日常生活の集中力・情報処理力にも良い影響を与えます。
② チームワークとコミュニケーション力
バスケは1人で成り立たないスポーツ。
仲間との連携が勝敗を分けます。
「味方の動きを見て合わせる」「パスを信頼して出す」といった行動は、
共感力・協調性・他者理解を育てます。
心理学では、これを社会的スキル(Social Skills)の発達と呼び、
将来の人間関係形成に大きく影響する要素です[Eisenberg, 2006]。
③ 自己肯定感・リーダーシップの向上
「自分のパスで得点につながった」「仲間を励ませた」などの成功体験が、
自己効力感(自分にもできる)とリーダーシップを育てます[Bandura, 1997]。
特に中学期以降は、仲間内での役割が自信に直結しやすく、
チーム内で「自分の存在意義」を感じることで、自己肯定感が安定します。
④ 運動によるストレス発散と脳の安定化
バスケのような全身運動では、
脳内のセロトニンとドーパミンが分泌され、ストレスが軽減・気分が安定します。
また、夜の睡眠リズムも整いやすくなることがわかっています[Ratey, 2008]。
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知っておきたい注意点(悪い影響)
① 勝ち負けへのこだわりすぎ
試合中心のチームでは「勝てなきゃ意味がない」と思いがち。
この考え方が強すぎると、失敗を恐れる気持ちや他者比較のストレスが増えます。
「努力した過程」も認める声かけが大切です。
② 指導の厳しさが恐怖学習になることも
強すぎる叱責やプレッシャーは、脳の扁桃体を刺激し、
「怒られないように動く」防衛行動を生みます。
これが積み重なると、挑戦を避ける性格になることもあります[APA, 2022]。
③ 親の過干渉・過期待
「もっと点を取ってほしい」「なぜパスしなかったの?」――
親がプレッシャーをかけるほど、子供は“評価のためのスポーツ”になってしまいます。
親の役割は監督ではなく、応援団長です。
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家庭でできるバスケサポート法3選
① 試合や練習後は“共感”から始める
「惜しかったね」「頑張ってたね」など、結果より“気持ち”を受け止める声かけが効果的。
脳の安心スイッチ(セロトニン神経系)が働き、次の挑戦意欲につながります。
② ミスや負けを「成長の材料」として話す
「負けた=失敗」ではなく、「どうすればもっとよくなる?」と一緒に分析。
この“学習的失敗観”が、粘り強さと問題解決力を育てます。
③ 家でも「成功体験」をつくる
「リビングでドリブル練習を続けたね」「挨拶できたね」など、
日常の中でも“努力の認知”を伝えましょう。
バスケ以外の場での成功体験が、総合的な自己肯定感を支えます。
バスケが“生きる力”を育てる理由
バスケットボールは、
・先を読む力(思考)
・仲間と動く力(社会性)
・失敗から立ち直る力(精神力)
を同時に鍛えられるスポーツです。
つまり、バスケの本質は“勝ち負けの競技”ではなく、
人生で必要な「チームで生きる力」を学ぶ教育ツールなんです。
まとめ|勝つより大切なのは「育つこと」
バスケは、技術以上に“心を育てるスポーツ”。
・努力を認める親の言葉が、子供のやる気を生む
・チームの中での自分の役割が、社会性を育てる
・失敗を乗り越える経験が、レジリエンスを鍛える
勝つことより、成長を喜べる家庭が、
スポーツの良い影響を最大限に引き出します。
【内部リンク】
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FAQ
Q1. バスケをすると勉強の集中力が下がりませんか?
→ むしろ逆です。運動によるBDNFの増加で、記憶力・集中力が高まる研究があります。
Q2. 厳しい指導で子供が泣いてしまいました。
→ 泣くのは「やりたいけど怖い」サイン。叱責より“寄り添い”が回復を早めます。
Q3. チームでうまくなじめないときは?
→ 「どんな時がつらかった?」と感情を言葉にさせることで、社会的スキルの成長につながります。
参考文献
- Vestberg, T., et al. (2017). Cognitive functions and team-sport performance. Frontiers in Psychology, 8, 1050.
- Bandura, A. (1997). Self-Efficacy: The Exercise of Control. Freeman.
- Eisenberg, N. (2006). Prosocial Behavior in Children. Developmental Psychology Review, 22(4), 417–446.
- Ratey, J. J. (2008). Spark: The Revolutionary New Science of Exercise and the Brain. Little, Brown and Company.
- American Psychological Association (APA). (2022). Coaching Styles and Child Motivation.
- 厚生労働省. (2023). 子どものスポーツ活動とメンタルヘルスに関する報告書. https://www.mhlw.go.jp/


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