「陸上って個人競技だし、続けられるかな…?」
「チームスポーツと違って、子供の社会性は育つの?」
そんな疑問を持つ親御さんも多いと思います。
でも実は、陸上は“自分と向き合う力”を育てるスポーツ。
心理学的に見ても、集中力・挑戦力・自己効力感(自分を信じる力)を伸ばす要素が詰まっています。
この記事では、児童福祉の現場で10年以上、運動指導もしてきた心理士パパが、
「陸上が子供に与える良い影響」「注意点」「親の関わり方」を丁寧に解説します。
陸上が子供に人気の理由
小学生・中学生の習い事ランキングで、陸上は年々人気上昇中。
理由は、
・運動神経をバランスよく伸ばせる
・他のスポーツにも応用できる
・自分のペースで成長を感じやすい
という点にあります。
特に、体力・瞬発力・集中力など、勉強にもつながる基礎能力が育つことが特徴です。
陸上が脳と心に与える良い影響
① 集中力と判断力が高まる
スタート時やフォームの意識など、陸上競技は“無意識な集中”が必要なスポーツ。
この状態は心理学でフロー(flow)状態と呼ばれ、
脳の前頭前野が活発に働き、集中力と自己制御能力が強化されます[Csikszentmihalyi, 1990]。
② 「努力が結果につながる」経験が自己効力感を高める
陸上は、記録やタイムという“自分との勝負”が中心。
だからこそ、練習の積み重ねが結果に直結しやすく、
「やればできた!」という成功体験が自己肯定感とやる気の根になります[Bandura, 1997]。
この積み上げの感覚は、学習や受験にも転用できる「努力脳」を作ります。
③ ストレス耐性と感情コントロールが育つ
試合の緊張・スタートの失敗・悔し涙――
陸上は“失敗との向き合い方”を教えてくれます。
脳科学的には、こうした小さなストレス経験が扁桃体(不安)と前頭前野(冷静さ)のバランスを整え、
「気持ちを立て直す力=レジリエンス」を高めるのです[APA, 2022]。
④ セロトニンが増えて“心の安定”に
リズミカルな走行運動によって、脳内にセロトニン(幸福ホルモン)**が分泌されます。
このホルモンは、感情を安定させ、ストレスを和らげる作用を持ちます。
継続的なランニング習慣は、心の安定にも効果的なんです[厚労省, 2023]。
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注意しておきたい“プレッシャー”の影響
① 記録へのこだわりすぎが“完璧主義”に
「ベストが出なかった」「負けた」と感じやすい陸上では、
結果に過度にこだわると、自己否定感や不安感につながります。
大切なのは、「前回より一歩進んだ」を認めること。
たとえ0.1秒でも成長です。
② 親の期待が子供の重荷になることも
「もっと早く走れたでしょ」「どうして抜かされたの?」
そんな声かけが続くと、子供は「頑張っても認められない」と感じます。
心理学ではこれを「条件付き承認(Conditional Regard)」と呼び、
長期的には意欲の低下・親子の信頼関係の悪化を招く可能性があります[Assor et al., 2004]。
③ 身体的なオーバーワークにも注意
小学生期は成長軟骨が未発達。
過度な練習や大会連続参加は、ケガや疲労骨折のリスクが高まります。
「週に1〜2回の練習+しっかり休む」が理想です。
陸上で伸びる力を支える家庭の関わり方
① 結果ではなく“努力”を認める
「今日も練習頑張ったね」「最後まで走りきったね」
――この声かけが、脳の報酬系(ドーパミン系)を刺激し、
“努力=うれしい”と学習します。
② 比較ではなく“自己成長”を話題に
「〇〇君に勝てた?」より「前より速くなったね!」。
比較ではなく自己基準で成長を感じさせることで、
自信と粘り強さが育ちます。
③ 失敗を“チャレンジの証”として受け止める
失敗のたびに「惜しかったね」「挑戦したのがすごいね」と伝える。
その言葉が、失敗を怖がらない心をつくります。
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まとめ|陸上は“競争”より“成長”のスポーツ
陸上は、
・自分と向き合い
・努力を積み重ね
・成長を感じられる
――そんな“自立と自信”を育てる習い事です。
勝つことより大切なのは、「昨日より前に進んだ」という感覚。
その積み重ねこそが、将来どんな困難にも立ち向かえる力になります。
親は「記録」ではなく、「継続する姿」を見守ってあげましょう。
それが、子供の中で“努力は裏切らない”という確信を育てます。
【内部リンク】
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FAQ
Q1. 陸上は個人競技なので、社会性は育ちにくいですか?
→ チーム練習やリレーで“協力の意識”を学べます。自立+協調の両方を伸ばすスポーツです。
Q2. 記録が伸びないときにやる気が下がります。
→ 成績より「練習の積み重ね」を一緒に見返すことで、“成長の可視化”ができます。
Q3. 勝ち負けにこだわるのは悪いことですか?
→ 否定しなくてOK。ただし“勝たなきゃダメ”ではなく“挑戦が大事”に意識を変える声かけを。
参考文献
- Csikszentmihalyi, M. (1990). Flow: The Psychology of Optimal Experience. Harper & Row.
- Bandura, A. (1997). Self-Efficacy: The Exercise of Control. Freeman.
- Assor, A., Roth, G., & Deci, E. L. (2004). The Emotional Costs of Parents’ Conditional Regard. Journal of Personality, 72(1), 47–88.
- APA. (2022). Sports participation and resilience in children.
- 厚生労働省. (2023). 子どもの運動とメンタルヘルスに関する報告書. https://www.mhlw.go.jp/


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